板橋区立熱帯環境植物館
熱帯環境植物館は、世界三大熱帯雨林の中から、日本と関係の深い東南アジアの熱帯雨林を再現しています。海に見立てた水族館から始まり、高山帯までのジャングルを登っていくような気分を味わうことができる「潮間帯ゾーン」「熱帯低地林ゾーン」「集落景観ゾーン」「雲霧林ゾーン」の4つに分かれています。熱帯や地球環境をテーマにさまざまな企画展示やイベントを行っており、熱帯の環境を楽しみながら学べる博物館型植物館です。
施設全体で約3000平方メートル、そのうち植栽面積は1000平方メートルで、地下1階から地上2階までの吹き抜けとなる大空間を確保しています。隣接している高島平温水プールや高島平ふれあい館とともに、板橋清掃工場の余熱を利用した省エネルギー型の施設として平成6年9月に誕生しました。
私が行ってきたのは『らん・ラン・蘭展2025年』です。色とりどりのランで縁取られた会場は、とても華やかな雰囲気に包まれています。今年は『着生ランと地生ラン』をテーマに展示を行っています。キラキラと葉脈が光るジュエルオーキッドのテラリウムや花の形がユニークなパフィオペディルムなどの地生ラン。通称タケノコ蘭とも呼ばれている、Fdk.アフターダーク ’エスブイオーブラックパール’など、バルブや葉の形が少し変わっている着生ランも展示しています。
ランの生育分布は南極大陸、砂漠、高山を除く北緯73度から南緯56度までの地球上の広い範囲に生息しています。熱帯は種類も多く、生育密度も高いのに対して、緯度が高くなる(寒くなる)につれて種類も少なくなり株数も少なくなります。
アジア、アメリカ、アフリカの熱帯雨林地域がランの3大自生地となっていて、中南米には約8,200種。熱帯アジアには約6800種、熱帯アフリカには約3100種が生育していると言われています。
このような分布から2つのタイプに分けられます。
①限られた地域に生育する種
殆どのランはこのタイプにあたりデンドロビウム、ファレノプシス、パフィオペディラムはアジア。カトレア、オンシジジューム、ミルトニアは中南米。アングレカム、エランギスはアフリカが故郷です。
②全地球的に分布する種
①に対して、特定の地域に限定せず広範囲に生育する種も存在し、バルボフィラム、ハべナリア、バニラなどはアジアのみならず南アメリカやアフリカにも生育しています。